トランジットでの再会

今年二度目のヨーロッパに向かっている。
今回のトランジットは台湾の桃園空港。
経由はどこでもよかったんだけど、
チケットを抑えるタイミングで値段が安かったのと、
アジア圏での乗り換えておくと日本との時差とズレないタイミングが長く取れるので、
仕事がしやすいんじゃないかと。

乗り換えで過ごした桃園空港に来たのは、はじめての台湾旅行ぶり。
多分18.9年前かな。
当時の自分は、大学の卒業旅行以来、あまり海外に興味がなかった。
ただそのときの彼女が旅慣れていて、
半ば強引に?引張りだされてバックパックを担いで行った。

10日くらいだった気がするけど、フィルムカメラで撮影をして、
現地で紙焼きにしたり、
バスや電車を乗り継いで阿里山に行ったり、
流れに任せて町に立ち寄ったりと
湿気とアジアの熱気を帯びた町の雰囲気が落ち着いたのと
好きな人といつもと違う風景で過ごすというのがなんとも新鮮だったのを急に思い出した。

この旅がきっかけで旅や台湾が好きになった自分は、
その後毎年台湾に通った時期もあったり、
2019年頃には、なんとか仕事をつくって拠点にしたいな、と考えていた。

はじめて海外旅行をしたのがちょうど20年前だけど、
当時と比べたら、すっかりは移動はイージーになったと思う。
旅慣れたというのもあると思うけど、
LINEやwhatsupでいつでも連絡ができるし
SIMはアプリで買えてしまう。
現金を両替しなくても、スマホがあれば、買い物や電車にも乗れる。

イージーでコンビニエントに、どこでも繋がれることによるメリットは、
「どこでも移動しながら働ける」ことを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。

ワーケーションや移住などの話題が増えたと思うし、
実際宿泊業をやっていて、こうした需要が増えたことを体感している。

ただ個人的に強く感じているのは、
より大きなメリットは、
「その場所に行かないとわからないこと、現地でを向き合えるようになった」
ことだと思う。

検索やgooglemapなど、インターネットにある情報は、
誰かが経験した過去のものだったり、本当か嘘かわからない玉石混交。
インターネットに乗らない、残らない情報、感覚、体験でこそ世界は回っていると
この夏も国内外をあちこち動いて改めて感じた。

大事なのは、オンラインにあるものと、
実際に自分が体験したり感じた、オフラインで出来事や時間とを
自分なりに集めること。
この夏もヨーロッパや日本も、海、山、森、川や自分の居場所を
移動しながら、自分なりのフィルターを通して
現場に触れる。

インターネットに点在する情報をつなぐもの、
高城剛さんはそれを「ミッシングパーツ」と呼んでいたけど、
このかけらを探すのは、決してイージーではないし
これは現場でしか、ストリートにしかない。

新時代である風の時代は、だれもが移動し、
つながることのできる大移動時代。
それぞれが目指す宝の地図は、
モデルケースやオンラインにはなくて、
自分で材料を見つけ、集めて、つくりあげていくものなんだろう。

これを書いているのはフランクフルトに向かう機内。
オンラインMTGがとデスクワークとが入り混じるトランジットは
あっという間の5時間だった。
ソワソワとドキドキが入り混じって台湾に降り立った当時の自分と、
年を取ったけど、旅は休暇ではなく、仕事や生活の一部になって
まだ青臭くリアルに向き合おうとする自分とが交差したような
懐かしくも楽しい時間だった。

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