Road to documentafifteen あるいは2022年圏外への旅

documentafifteen(ドクメンタ15)という国際芸術祭に参加するために
ドイツのカッセルという町で、これを書いている。

ドクメンタは、5年に一度行われる芸術展であることから「芸術のオリンピック」とも言われている。

https://documenta-fifteen.de/

今年のテーマは「ルンブン」。
インドネシア語で「米倉」であるこの言葉は、知識や経験、アイデアなどの
色々なリソースをコミュニティで共有する意味であり、
キュレーターである、ルアンルパのコンセプトでもある。

彼らと、自分が数年参加しているCINEMA CARAVANと栗林隆さんが
そのビジョンや活動が重なる点が多く、今回の参加に至った。
(メンバーの中で僕は一番新しい参加者なので、
10年以上続けていることになる活動の1つの結実でもある。がまたそれは別の話)

カウントしてみたら、2年半ぶりの海外の移動だったのと
その間に見事に生活やあり方が変わり、出国直前はドタバタだった。
自分のお店や様々なプロジェクトなど、無茶振りを引き受けてくれた
さらには飛行機が飛ぶ直前や、トランジットするドバイでもオンラインのMTGなど、
過ごし方はパンデミック前のほうがむしろ穏やかにすら思えた。

ドバイからフランクフルトに向かう機内で
時差も広がり、ようやく旅が始まったような感覚になった。

自宅を出てから約30時間。
荷物を抱えながら現地につくと、荷解きをする間もなく、
バンの荷台にピックされそのまま設営スタート&集団生活。

この数日は、最後の追い込み作業も多く
普段の生活の様々なことから遠ざかる「圏外」でずっと過ごしていた気分になった。

ここでいう圏外とは、電波というよりも、心理的、物理的に離れること。

Wi-FiやSIMも電気もあるので、厳密にいうと圏外ではないのだけど、
インスタやLINEやSlackなどのツールから離れて、
移動や作品づくり、仲間や人と関わり合ったりと、リアルな目の前の物事にフォーカスする。

いつも囲まれているいいね!やメンションを離れることで
最初は少し不安になったりもするが、
目の前に流れる時間にフォーカスしていると、
即レスをする必要にいかに受動的になっているかを、気付かされた。

言葉や環境が違い、
ある種サバイバルのような環境の中でも、
作品をつくったりアウトプットをする隆さんやキャラバンのメンバーは
本当にタフでサバイバル能力が高い、と思うし、
日本や日常での生活や仕事が、
いかに穏やかで便利なものだったのか、
色々な縛りも多い「圏内」であるかも感じる時間にもなった。

手を取り合える仲間と目の前のコトに向かったり、
自分と向き合いながら、目の前の
分断が増え、ここが気づかないうちに決めてしまっていたであろう圏内で生きることが
当たり前になりつつある現代で、「圏外」にのめりこめることがあるのは
この時代にとても幸せなことだと思う。

さて、このあと6/19の20時からは、僕たちのグランドオープニング。
またしばし、「圏外」の旅に戻ろうと思う。

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