自分が光かがやいていることに気がつこう

 昨年11月8日、皆既月蝕のその日、私は神奈川県にある江之浦測候所にいた。実は月蝕をあんなに集中して見たのは、おそらく人生で初めて。肉眼であんなにハッキリくっきり見えることへの驚きと同時に、昔の人が徐々に欠けていく月の様子に不安を感じ、凶事の前触れでは、、、と不安に思ったのも当然だなと感じた。

 ここまで読んでいただいた方はお気づきだと思うが、実はこの原稿はここ3ヶ月、書いては消し、書いては消ししていて、気がつけば3ヶ月も前の話になってしまった。ちょっと古いネタですが、もうすぐ満月でもあるし、立春を迎えた今、やはりどうしても伝えたくなったので、そこはご愛嬌と思っていただければありがたいです。

 今回の月蝕で改めて私が感じたこと、それは月の明るさ。江之浦測候所は東海道線 根府川駅から徒歩30分ほどの場所にあり、目の前は海、周りには街頭やお店も一切なく、夜は真っ暗になるエリアです。あの夜、関東は絶好の観測日和の快晴、私が何より驚いたのは、月が欠けていくさまと反比例して、周りの星々の明るさが際立ったこと。東京の夜は明るく、見える星の数も全く違うため、同じ皆既月食を見ていてもなかなかリアルに感じる機会は少ないと思う。本当に貴重な体験で、20-30人ほどのお客様が皆既月食と星を眺めていたのですが、大きめの流れ星を観ることができた瞬間は、会場が歓声と共に一体感に包まれました。

 このはっきりと煌めきが強くなっていく星たちをみながら感じたのは、人間もこの星と同じなのではないかということ。自分の周囲はもちろん、メディアで紹介される方々など、輝きが強い人たちがいると、自分自身が輝いていることに気がつけないのではないかということ。みんな違うし、みんな輝いている、その当たり前のことを時として見失ってしまうのではないだろうか。そんなことを改めて考えた月蝕の夜。

 「みんなちがって、みんないい」は金子みすゞさんの言葉だが、この言葉が歳を経て、さらにしっくりくる。ぜひ今一度、あなたが持っているものに光を当ててみてほしい。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です