憧れ

ふと”憧れや”憧れる存在”なるものに考えを巡らせてみた。

皆さんは憧れとか、憧れる対象?のようなものをお持ちだろうか。

一般的にいうと、”憧れるもの・こと”とは、

TV等で活躍するアイドルやミュージシャン、
類稀なるスタイルを持つスーパーモデル、
溢れんばかりの富を持つ超富裕層、
複数言語を母国語のように使いこなすマルチリンガル、

・・・

などなどが挙げられるかもしれない。

このように、
”尊敬するとかすごいと思う”人たちの雛形はいくつかあれど、
私自身がこういった典型例?というような存在たちに”憧れ”という感情を抱くかといわれると、
なんかちょっと違うなぁ、と。

画面から離れて、家事でもしながら、ぼーっと憧れなるものについて考えていたら、
ふと、・・・・あぁ〜完全に参ったのこういうタイプだな、たしかにこれは憧れだな!
なんて思う人やその型を見つけたのでそれをここで披露してみたい。


憧れを抱くもの
それは、私の場合だが、熟成した文章を書ける人か、と思う。

熟成というとグルメな人であれば少し前から流行っている?熟成肉などを
思い出すなんて言う人もいるかもしれない。
「肉は腐る前が一番うまい」なんていう言葉を聞いた向きもあるだろう。

対比のために申し伝えておくが、私も文章を書く・何かを伝えるといった仕事をしているけれど、
私の場合はどちらかというと”若い・早い文章”が得意なタイプに属するように思う。
ブログやnoteなどでもそうだが、閃きをそのままおろしてくるタイプで、なんなら推敲もせずにupしてしまうなんていうことも日常茶飯事である。

それに対して、世の中には熟成型の文章の名手と言うのが少なからず存在している。

何度も推敲を重ねて練って練って、何度も足したり削ったりして最高の文章に仕立て上げた!といこともあるだろうし、また、原稿用紙に向かうのは一度でも、それまでに脳内や心のうちで何年も寝かし込んだ長年熟成のバルサミコのような芳香を持つ文章を綴り出す、なんていう人もいるだろう。

また、これが難しいところなのだが、
食肉でもそうかと思うが、”熟成と腐敗”、その境目を見極めるのがまた難しい。
フレッシュというのは実はそんなに難しいことではない。
なぜなら”フレッシュであればあるほど良いから”だ。
ただ熟成は違う。
ここまでなら熟成だが、ここから先は腐敗というラインが、- 目には見えないけれど –
確実に存在しているからだ。
その粋と無粋の間のような、なんともいえぬデリケートなところを見極める嗅覚。
その感覚の持ち主こそが文章を高度に熟成したものに仕立て上げることができるものなのだろうと思うし、また、その嗅覚を養うには幾度も”腐敗”と”熟成”を体験することが最低必要条件であるようにも思う。
幾万の屍の上に成り立つというのは極端かもしれないが、そういった数多の境目を見たという経験値の蓄積こそが”熟成した文章をつづること”、その土壌となっているのである。

話を肉の話へとスライドするが、肉は命が断たれたその瞬間から死後硬直が始まり、肉は次第に固くなっていく。ただ、死後しばらくすると肉のタンパク質は酵素の働きで徐々に柔らかくなり、筋肉内にあるATPという物質を分解し、うま味成分も増えていくのだという。ただし、これがさらに進んでいくと肉自体の酵素もだが、肉についていた微生物が作用し、腐敗へと進んでいくこととなる。

文章と肉はもちろん全く違うものだが、
こと熟成のプロセスにおいてはなんだか近しいものもあるのではと感じる。
昔書いた文章を読み返してみるとそれは一目瞭然だ。
良質な熟成肉として旨味をキープしたまま美味しさを放っている文章と、
腐敗してしまって再読するに耐えない文章。

また、私はフレッシュ派でもあるので、
それら以外に”消費される文章”もあるのだが、日々、私は問うている。
私は熟成に耐えうる文章を書き綴れているのだろうか、と。

若い文章はそれでいい。元よりそういう目的なのだから。
ただ、それ以外のものはどうだろうか・・・。

うーん。考えれば考えるほど、どうやらやはり私は文章でいうと”ボージョレ型”であって、
ロマネコンティ型ではないように思えるがどうだろう・・・。

まぁ、だからこそ、”自分に持っていない要素”をもっているからこそ嫉妬ではなく、
憧れになるのであって、また、そこに心からのリスペクトが生まれたりもするのであろう。


話はそれるが美術館ピースを多く残した、熟成の超達人ともいえるアーティスト・パブロピカソは生涯で15万点に及ぶ作品を残したという。
もちろんそれら作品のすべてが熟成型ではないのかもしれないが、
数をこなしていくことが”熟成の境地”にたどり着く近道なのだとしたら、
熟成型を目指すには、やはり懲りずに”書きまくる”という選択一択なのかもしれない。

* 憧れ・・・・皆さんはありますでしょうか?
私はやはり上記文にもありますが、
”熟成がうまい人”は本当に、心からリスペクトです!

“憧れ”への 1 件のコメント

  1. H より:

    つい最近、”すごい”と思った人がいます。すごく “すごい”。
    Jusina Miles (Deaf performer) さん。
    Rihanna の Super Bowl 2023 Halfime show を手話で伝えていた人です。(YouTube のASL Suncatsチャンネルにあります。)

    ときどき、ふと思い出す Youtube 動画があります。やっぱり、”すごい”と思っているからだと思います。
    DUGRI (UR&SAZ) “Let’s Talk Straight”。
    (この曲には参考とされた楽曲があるらしく、遥かに多くの再生回数を誇っています。Joyner Lucas “I’m Not Racist”。)

    自分と地続きではない “自分に持っていない要素” をふんだんに持っている人たち。
    異世界を繋げてくれている人たち。

    “憧れ”とは少し違うような気がしますが、”尊敬するとかすごいと思う” を体現してくれている人たちでした。

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