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Coco

Coco

sensory scientist

“sensory scientist”というのは、ほとんどの人にとって聞きなじみがない仕事かもしれない。

人の感性という極めて主観的であいまいなものは、生理学的メカニズムが遺伝子から脳のレベルまでに急速に解明された現代においても、いまなお直接測定することができていない。
そのため、モノづくりの現場において、人の感性は、五感に頼って評価してサイエンスに基づいてデータ化したり、身体に生じる小さな反応を測定する方法によって比較検討可能な形に変換され、食べ物の美味しく改良したり化粧品の使い心地を良くしたり様々な場面で役立てられている。

ところで、人の感性を通じてモノの特徴を知ることと、モノを通じて人の感性を知ることは、ちょうど鏡合わせのような関係になっている。“sensory scientist”としてモノづくりのために感性を測るプロセスは、私にとっては、モノを知ると同時に人をより深く知るプロセスでもあったのだ。

そして経験を積むうちに、いつしか関心の対象は徐々に「人」にシフトしていった。
おいしい食べ物を食べると満たされる感覚はどこからきているのか?
どんな食事スタイルを実践すれば体調を整えて健康でいられるのか?
そもそも人は食事に何を求めているのだろうか?

感性を測るというフィルターを通して見えてきたことは、着目すべきはモノ自体の良し悪しではなく、使い手になる人との相性であるということである。ひとりひとりにとって相性のよいモノが存在し、それに巡り合う鍵を握っているのが「感性」であるのだ。

感性とサイエンスの間を常に行き来しながら積み上げてきた独自の視点で、読者の皆様のウェルビーイングのヒントとなるような、モノや人との向き合い方、ライフスタイル全般のことについて綴ってみようと思う。

Coco プロフィール

感性を測る研究者 大阪府出身。大学院修了後、メーカーに勤務。新製品開発を経て、感性を測る評価技術の研究に従事。
また、心理の専門知識を生かし感情や思考・価値観を整理するための個人セッションを提供。
チョコレート愛好家でもあり、実食数はビーントゥバーを中心に年間150種以上。
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