物に気は宿る
2022年4月22日
物や場から感じる空気感はなんだろうか。パンデミックを経験した特にここ1~2年で、作り手や関わる人間の空気感、人柄のようなものを、商品やお店などの空間から感じる機会がとても増えたように思う。スピリチュアルな話ではなくて、なんとなく居心地の良いカフェとか、つい商品を買ってしまうお店、逆に、すぐ帰りたくなるお店とかそんな感じの誰もが感じるような感覚に対して、敏感になっている人が多いように感じる。それは周りにクリエイティブな、そういう感覚に繊細な人たちが多いからかもしれないのだが。
尊敬する友人の健ちゃんことグラフィックデザイナーの岡本健さんが関わっている、スーツケース・トラベルブランドmolnのお披露目の場で、改めてそんなことを考えた。プロダクトデザイナーの柴田文江さん、建築家の二俣公一さん、グラフィックデザイナーの岡本健さんという、私が好きな物作りをしている人たちがタッグを組んでいると知って、楽しみにしていたプレビュー。
柴田さんが作られるプロダクトは、シンプルで繊細だけれども一本筋の通ったような美しさ、さらに、どこか奥深くにあたたかさみたいなものを感じる。二俣さんのデザインからも近しい印象を受ける。デザインや建築が好きな人たちが見ても素晴らしいデザインだが、おそらくデザインの知識がない人たちが見ても、なんかいいなと感じるのではないだろうか。美しく、完璧にデザインされているけれども、デザイナーのおしつけを感じない、そんなデザインは、私が好きだと感じるデザインの特徴である。
柴田さんが素敵な人たちを紹介してくれて、素敵な繋がりが広がって、そんなことを健ちゃんが言っていたけど、たぶん私が感じる何かは、そういうことなんだろうと思う。商品に愛が目一杯詰まっているのを感じる。
今、私が長年関わってきたアパレル業界は、まだ色濃く残るパンデミック(今回の上海ロックダウン)やサスティナブルな流れもあり、あまり好調とはいえない。そういう状況になると、時に誰かのせいや何かのせいにしたくなる人も増える。気持ちはわからなくもない。でも、誰かのせいや何かのせいで片づける他人ごと感や愛のない感じはどこか商品に現れてくるようになったように感じる。少し前まではエネルギーや勢いで物が売れていたので、商品にあまりその空気感まで伝わらなかったのではないだろうか。
関わる人たちに溢れるいい空気やムードが、さらにいい空気や流れを呼ぶ。そういった連鎖が生まれるのは、気持ちの良い人柄、思わず協力したくなるチャーミングさなど、アウトプットが素晴らしい人は、人柄も素晴らしいことが多いように感じるというのは、つい最近も友人たちの間で話題になった。なんかこれ、前回のニューヒーローと通じる世界観なんだよなぁと書いていて改めて思う。
聖人君子であれ、なんていうつもりはないが、愛が詰まっていることとか、人間としての優しさといった根本的なことが大事な時代に突入しているなと感じることが増えたなと感じる。そういうものに光が当たるから、今、不安な人たちも丁寧に続けていれば光が当たる日が来るから、大丈夫だよと伝えたい。
話を戻して、スーツケースといえば、だが、そろそろ旅を再開したい時期。「未来の旅の荷造りをはじめよう」というのはmolnのHPの中の言葉だが、旅へ行くときの、あの独特の高揚感は何者にも変え難い。スーツケースに目一杯の夢と希望を詰め込んで、パンデミックを経た新たな目で、世界を、日本を、見つめなおして見てほしい。あなたの目に映る世界は、きっと今まで以上に輝いている。
https://moln.com/
Keena
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上の写真は、昨年、訪れた熊野本宮大社の大鳥居。和歌山の熊野本宮大社、熊野速玉大社、那智大社を訪れてこの旅。私の人生の流れは、この後、大きく変わった。そんなふうに感じていたら、yujiさんが2022年行くべきパワースポット、人生をリセットするならこの3社をぜひ訪れて、と昨年末にコラムで紹介していて、驚いた。でも、本当に効果抜群だと思うので、人生にリセットをかけたい人はぜひ行ってみて。きっと人生は驚くほど、ますます楽しくなるから。